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シリコン豊胸(シリコンバッグ豊胸)の最新:仕上がりを決める4つのポイントと失敗を避けるコツ

2026.01.28

シリコン豊胸(シリコンバッグ豊胸)の基本から最新の考え方までを解説。

乳腺下法・デュアルプレーン法(大胸筋下法)、内視鏡豊胸、シリコンの寿命やマンモグラフィ、授乳の疑問まで専門医がわかりやすくまとめました。

シリコン豊胸とは?

シリコン豊胸は、胸の中にシリコンインプラント(=シリコンバッグ)を入れて、バストの大きさや形を整える手術です(「バッグ豊胸」と呼ばれることもあります)。

脂肪豊胸と比べて、一回の手術で2カップ以上のサイズアップが可能などのメリットから、世界中で広く行われている治療です。

このコラムでは、シリコン豊胸の仕上がりを左右する大切なポイントを、整理するとともに、多くの方が気になるシリコン豊胸後の授乳や検診(マンモグラフィ)について、シリコンの寿命(入れ替え時期)などについても最新の知見とともに解説します。

※ネット上には「胸下切開の方が安全」「シリコンの寿命は10年」など、今の最新の考え方とは少しズレた古い情報や説明を見かけることもあるので注意が必要です。

まず結論!:シリコン豊胸の仕上がりを左右する4つのポイント

同じシリコン豊胸でも、方法によって自然さ、満足度、失敗・トラブルの起きやすさは大きく異なります。

まず、シリコン豊胸の仕上がりを決める4つのポイントを紹介します。

  1. どこを切るか(傷の場所)
  2. どこに入れるか(胸の中の層)
  3. どんなバッグを選ぶか
  4. 手術を“見ながら”できるか(内視鏡/直視下)

①〜③に基づいたデザインが、いわば「シリコン豊胸の設計図」です。

そして④は、その設計図どおりの正確な形に仕上げるための手術の質です。

①どこを切るか?(傷の場所)

主に わき(腋窩) と 胸の下(IMF:乳房下溝) があります。

※IMF(乳房下溝)=胸とお腹の境目にある“下乳”のラインのことです。

わき(腋窩切開)

  • 腕を下ろしていると見えにくい(腕を上げると見える)
  • 脇のシワに沿って切開することで傷跡が目立ちにくい

胸の下(IMF切開)

  • 裸にならないと見えにくい(水着やノースリーブでも見えない)
  • 手術後早期から腕を動かすのが楽

【昔の常識と、今のアップデート】

以前は、脇からの豊胸手術が「手術操作している部分が見えにくいまま進む(盲目的)」ことがあり、胸の下の方が安全と言われていました。

でも今は、内視鏡で見ながら行う豊胸や、さらに進化した『完全直視下』での操作により、脇からでも安全性を高めた手術が可能になっています(④で詳しく説明します)。

もし「胸の下の方が安全」と強く言われた場合は、「どうやって視野を確保しているか」(内視鏡などは使っているか?)を聞いてみると安心です。

②どこに入れるか?(術式の違い:図で解説)

シリコンバッグ豊胸
シリコンバッグ豊胸

シリコン豊胸は、バッグを胸の中のどの層に入れるかで、自然さやバレにくさが変わります。

※層(ポケット)=バッグを入れるスペース(部屋)の位置のことです。

現在推奨されているのは 乳腺下法 と デュアルプレーン法 です。

乳腺下法

シリコンバッグ豊胸 乳腺下法

  • 国内で最も広く行われている方法
  • ある程度胸のボリューム(乳腺や皮下脂肪)がある人は自然な仕上がりになる
  • 筋肉の影響が少なく、より自然な動きになる

この症例を詳しく見る

ただし痩せ型で胸の厚みが薄い方は、シリコンの輪郭が目立つことがあります。

デュアルプレーン法

シリコンバッグ豊胸 デュアルプレーン法

  • 大胸筋下法の欠点を改善した方法
  • 胸の上の方は筋肉でカバーだれているので、痩せ型や胸が小さい人でもシリコンの輪郭が目立ちにくく自然な形になりやすい
  • 柔らかさや自然な動きが落ち着くまでの時間がかかる(筋肉は馴染むのに時間がかかる)

この症例を詳しく見る

※昔は大胸筋下法(大胸筋の下にそのままシリコンを入れる方法)が行われていましたが、筋肉の動きで形が変わって見えたり(アニメーション変形)、シリコンのズレが生じたりするなどの欠点があり、デュアルプレーン法が誕生しました。

しかし、デュアルプレーン法は技術的に難しい、内視鏡や完全直視下法でないと出血などのリスクがあるなどの理由で可能なクリニックが限られています。

③どんなバッグを選ぶか?

シリコンバッグ選びは、体型(骨格・元のバストの大きさや形)・希望のバストサイズをもとに選びます。

〇〇ccなどの大きさ(容積)だけでなく、薄いタイプから丸い(厚い)タイプまで形も様々ですので執刀医とよく相談することが大切です。

より自然さを求めるなら薄めのタイプ(シリコンの輪郭が目立ちにくい)、派手さや深い谷間を求めるなら丸い(厚めの)タイプを選ぶことが多いです。

また、シリコンバッグのメーカーにより特徴も異なります。

カウンセリングの際に多くのシリコンバッグのサンプルを実際に手に取って比べてみましょう。

④手術の見え方が、実は一番大事です(盲目的→内視鏡→完全直視下)

①〜③で作った「設計図」を、正確な形にするのが手術です。

そのためシリコン豊胸の仕上がりと合併症の回避には、胸の中を“見ながら”安全に操作できるかがとても重要になります。

昔(〜2000年前後まで):胸の中が見えにくいまま手術を行っていた

当時は特に脇からの手術では胸の中をしっかり観察するのが難しく、

  • 出血している場所を見つけて止血する
  • バッグを入れるスペースを正確に左右差なく整える
  • 形の微調整をミリ単位で行う

といったことが、現実的には不可能でした。

もちろん丁寧に行う熟練した医師もいましたが、「見えにくいまま操作する」こと自体に限界がありました。

内視鏡豊胸の登場:安全性と仕上がりの正確性が飛躍的に向上

内視鏡で胸の中を観察しながら手術が行えるようになると、確実な止血ができたりなど安全性と精度が上がったと考えられています。

これにより、脇の傷を選びたい方も、より安心して手術を受けやすくなり、選択肢が広がりました。※¹

2010年代:完全直視下法で、さらに細かな調整へ

さらに進化した考え方として 完全直視下法 があります。

モニター越しではなく直接「しっかり見える状態」を確実に作り、左右差や乳房下縁のラインなど、仕上がりに関わる部分をより細かく調整することが可能になりました。

ロシッククリニック銀座では、この考え方に基づく完全直視下法によるデュアルプレーン豊胸について、小野准平が執筆した内容が専門書にも掲載されています。

ロシッククリニック銀座
シリコンバッグ豊胸(完全直視下法による豊胸術)

+α:執刀医の専門性(形成外科の経験)も大切です

「形成外科専門医」や「形成外科での十分な経験」があるからといって、それだけで手術の上手い・下手が決まるわけではありません。

ただ、形成外科はもともと「体の組織を丁寧に扱い、機能と見た目の両方を整える」ことを専門にしているため、豊胸でも次の点で安心につながります。

  • 組織の扱い(余計なダメージを減らし、丁寧に剥離・止血する)
  • 傷跡のきれいさ(縫合や傷のケアまで含めた設計)
  • 合併症への対応力(血腫・感染・拘縮などが起きた時の判断と処置)

だからこそ、カウンセリングでは「どんな術式か」だけでなく、「誰がどのように執刀するか」も確認しておくと安心です。

まとめ:シリコン豊胸は「選び方」が進化している

シリコン豊胸は時代遅れではありません。

ただし昔の情報のまま「胸の下しか安全じゃない」「寿命は10年で交換」などの説明が残っていることがあります。

いま大切なのは、

  1. 傷の場所は仕事や趣味などのライフスタイルに合わせて選び
  2. どこに入れるか(層)を体型に合わせて決め
  3. シリコンバッグを適切に選び
  4. 見ながら安全に行う手術(内視鏡・完全直視下)で安全性と精度を高める

という考え方です。

シリコン豊胸についてよくある質問(FAQ)

シリコン豊胸の寿命は10年?入れ替えは必要ですか?

「10年で必ず入れ替え」と一律に決まっているわけではありません。
大切なのは年数で決め打ちすることではなく、状態を確認して必要があれば対応することです。

特にシリコンは、破損しても自覚症状が出ないことがあるため、FDAは術後5〜6年で超音波またはMRI、その後は2〜3年ごと の画像検査による確認を推奨しています。※³

バレませんか?触った感じは自然ですか?

体型(胸の厚み)、サイズ、入れる場所、そして手術の精度で変わります。
痩せ型の方は、デュアルプレーン法や脂肪豊胸と併用したハイブリッド豊胸なども検討しましょう。

胸の下とわき、傷はどっちがいい?

生活スタイルや「どんなシチュエーション傷が見えるのが気になるか」で変わります。
どちらでも可能な場合は、メリット・デメリットを聞いたうえで選ぶのがおすすめです。

シリコン豊胸をしていても授乳はできますか?

もちろん授乳は可能です。

乳腺下法、デュアルプレーン法ともに母乳を作る乳腺組織に直接ダメージは与えません。

ただ、盲目的な操作を避け、内視鏡または完全直視下法を選ぶことをお勧めします。

マンモグラフィ(乳がん検診)は受けられますか?

原則として受けられます。

ただしインプラントが入っていると、乳腺の一部が写りにくくなることがあるため、検査の受け方にコツがあります。Motivaの公式情報でも、検査前にインプラントのことを伝え、経験のある施設で撮影する重要性が説明されています。※²

検診を受けるときのポイント

  • 予約時・受付時に「豊胸(インプラントあり)」を必ず伝える
  • インプラント対応の経験がある施設を選ぶ
  • 技師さんに、インプラントの種類や入っている位置(乳腺下/筋下など)を伝える
  • 必要に応じて、インプラントを避けて乳腺を写す撮影方法(displacement technique など)で撮影する

それでも断られることがある理由

現実として、施設によっては「インプラントあり」というだけで、リスク回避のために一律で慎重対応/お断りになることがあります。

また今でも、昔使われていたタイプのバッグが入っている方もいるため、施設側が安全側に判断することもあります。

その場合は無理せず、対応施設を探す、またはエコーやMRIを併用するなどの方法を一緒に検討するのがおすすめです。

カウンセリングで確認したいチェックリスト(保存推奨)

カウンセリングで「ここだけは聞いておくと安心」という項目をまとめました。

手術の安全性・精度について

傷について

術式(どこに入れるか)について

バッグ選びについて

執刀医について(これも大切)

術後フォローについて

参考文献・公的資料

⸻注釈・出典

※¹Momeni A, et al. Endoscopic transaxillary subpectoral augmentation mammaplasty: A safe and predictable procedure. 2006.

※¹Price CI, et al. Endoscopic transaxillary subpectoral breast augmentation. 1994.

※²Motiva公式:Can breast implants interfere with mammography?

※³乳房インプラントについて知っておくべきこと

※³ナトレル410解剖学的形状安定性シリコン乳房インプラントコア研究の10年間の結果

⸻参考文献

美容外科医になったら最初に読む 美容手術の基本(メディカ出版)

小野准平. 直視下経腋窩デュアルプレーン法による乳房増大術. 形成外科 65(2): 177-184, 2022