COLUMN

コラム

垂れた胸の整形手術とは|「垂れ具合」と「しぼみ具合」の違いから考える適応の判断

2026.09.14

監修者情報

小野 准平

LOCHIC CLINIC GINZA 代表理事 院長 小野 准平JUMPEI ONO

詳しく見る
垂れた胸 整形手術

バストの「高さが低くなった」「上部が削げて下垂してきた」「産後や授乳後にしぼんで垂れたように見える」といった変化は、多くの女性が抱える自然な悩みです。

「胸が垂れてきたら吊り上げの手術(マストペクシー/乳房挙上術)を受けるしかない」と考えられがちですが、実際にはバストの状態によって適した治療方針は大きく異なります。

ボリュームが減ったことによって垂れて見えるのか、それとも皮膚や下垂そのものが原因なのかを見極めることが非常に重要です。

本記事では、胸が垂れて見える原因をはじめ、豊胸術やマストペクシー(乳房挙上術/吊り上げ・縮小)の適応、セルフケアで期待できる範囲について、美容外科医の視点から詳しく解説します。

胸が垂れる原因

バストの見た目が変化し、下垂(垂れ)が生じる背景には、主に3つの要因が関係しています。

ご自身の状態がどれに当てはまるかを確認することが、適切な治療を選択する第一歩となります。

クーパー靭帯の伸び

クーパー靭帯とは、乳腺組織と皮膚、および胸の土台である大胸筋をつなぎ留めているコラーゲン線維の束(支持組織)です。

バストの立体的な形状を維持する重要な役割を果たしていますが、一度伸びたり断裂したりすると、自然に元の硬さや長さに戻ることはありません。

加齢に伴う変化をはじめ、妊娠・授乳期におけるバストの急激な変化、運動時や日常動作での大きな揺れなどが加わることでクーパー靭帯に負担がかかり、バストを支える力が低下して下垂につながります。

皮膚のたるみ

バスト全体を包み込んでいる皮膚の弾力低下も、下垂の大きな要因です。

加齢や紫外線などの影響により、真皮層のコラーゲンやエラスチンが減少すると、皮膚のハリが失われます。

特に妊娠や授乳を経験されると、一時的に大きく伸びた皮膚が、卒乳後に授乳前の状態へ戻りきらずに「余剰皮膚(余った皮膚)」として残ってしまうケースが少なくありません。

この場合、バスト内部の容量に対して皮膚が余るため、下垂が目立ちやすくなります。

乳腺の萎縮

卒乳後や、加齢による女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下に伴い、乳房内部の乳腺組織や脂肪が減少することを「乳腺の萎縮」と呼びます。

乳腺が縮小すると、バスト内部の中身(ボリューム)が減少し、バストの上部(デコルテ付近)から削げるようにボリュームが失われます。

その結果、外側の皮膚だけが残されて風船がしぼんだような状態となり、実際の位置以上に「垂れて見える」現象が起こります。

垂れた胸に対して行われる手術

バストの下垂やボリューム低下の改善を目指す整形手術には、余分な皮膚を切除して位置を引き上げる「マストペクシー(挙上術・縮小術)」と、失われた内容物を補う「豊胸術」の大きく分けて2つのアプローチがあります。状態によっては、二つを同時に行うこともあります。

マストペクシー(乳房挙上術/乳房吊り上げ術・乳房縮小術)

マストペクシー(乳房挙上術)や乳房縮小術は、余剰となった皮膚や一部の乳腺組織を切除し、下がってしまった乳頭の位置を高い位置へ移動させ、バスト全体の立体的な形状を再構築する手術です。

下垂の程度やバストの大きさに応じて、主に「乳輪周囲切開」「垂直切開(I字切開)」「T字切開(逆T字切開)」などの切開デザインがあります。

切開アプローチと傷あとの位置

下垂の度合いや皮膚の余剰量に合わせて、適した術式が選択されます。

乳輪周囲切開(軽度〜中等度の下垂)
乳輪周囲切開(ドーナツ法)

乳輪の周囲(境界線)に沿ってドーナツ状に皮膚を切除し、巾着縫合のように寄せて引き上げる方法です。傷あとは乳輪のフチに沿って円状に残るため、比較的目立ちにくい特徴があります。

垂直切開 / I字切開(中等度〜重度の下垂)
垂直切開(ロリーポップ型)

乳輪周囲の切開に加え、乳輪の下端から乳房の下のライン(乳房下溝線)に向けて垂直に一直線の切開を入れる方法です。広範囲の余剰皮膚を切除・引き上げることができるため、しっかりとした挙上効果が期待できます。

T字切開 / 逆T字切開(重度の下垂・大幅な縮小が必要な場合)
逆T字切開(アンカー型)

乳輪周囲・垂直切開に加え、乳房の下の折り返し線(乳房下溝線)に沿って横方向にも切開を入れる方法です。

アンカー(錨)型とも呼ばれ、皮膚のたるみが非常に強い場合や、大幅な乳房縮小を伴う場合に適応となります。

対応できる症状・悩み

  • 中等度から重度の乳房下垂
  • 乳頭の位置の低下
  • 皮膚のたるみが強く、豊胸術だけでは下垂の解消が難しい状態

向いている人

  • バストの大きさやボリュームを出すことよりも、「位置」や「形」の改善・引き上げを最優先したい方
  • 皮膚の伸びやたるみが著しく、しっかりと皮膚を切除する必要がある方

向いていない人

  • 傷あとを極力残したくない方
  • 下垂の程度が軽度で、主に上部のボリューム低下(萎縮)が原因となっている方

自分のバストの状態にどの術式が適しているか、医師による診断が可能です。

無料WEB予約・カウンセリング受付はこちら

シリコンバッグ豊胸

ボリューム低下が原因で垂れて見える場合には、シリコンインプラントを用いた豊胸術により、内側からバストに張りを持たせるアプローチが検討されます。

乳腺下法

乳腺組織のすぐ下にシリコンインプラントを配置する術式です。

大胸筋を切離しないため、筋肉の動きによる形状の変化が生じにくく、術後の痛みや回復期間も比較的軽い傾向があるとされています。

対応できる症状・悩み

乳腺や皮下脂肪がある程度残っており、上部のボリューム低下やハリの低下が気になる状態。

向いている人

元々の乳腺や皮下脂肪に一定の厚みがある方。日常生活への復帰を比較的早めたい方。

向いていない人

やせ型で皮膚や乳腺が非常に薄く、インプラントの輪郭が出やすい方。皮膚のたるみが著しく強い方。

シリコンバッグ豊胸 乳腺下法

施術内容:30代 シリコン豊胸術(乳腺下法)ベラジェル225cc M
リスク:内出血、血種、感染、拘縮、痛み、傷口の赤み・硬さ・突っ張り・色素沈着・インプラント関連巨細胞性リンパ腫、乳房皮膚の知覚低下・過敏・左右差・シリコンの触知
費用:1,155,000円(税込)~

この症例を詳しく見る

シリコンバッグ豊胸(乳腺下法)の詳細はこちら

デュアルプレーン法

インプラントの上半分を大胸筋の下に、下半分を乳腺の下に配置する術式です。

大胸筋の厚みを利用してインプラントの上縁を覆うことで、デコルテ部分の段差を目立ちにくくし、自然な立ち上がりを目指します。

対応できる症状・悩み

体型が細身でデコルテの削げが目立つ状態。乳腺下法ではインプラントの境界が分かりやすいと想定される状態。

向いている人

やせ型でバストトップの組織が薄い方。しっかりとしたサイズアップと自然な見た目の両立を希望する方。

向いていない人

ダウンタイム期間をできる限り短くしたい方。皮膚の下垂が非常に強く、挙上を主目的とする方。

シリコン豊胸術(デュアルプレーン法)モティバ・エルゴノミクス2 250cc DEMI(デミ)

施術内容:20代 シリコン豊胸術(デュアルプレーン法)モティバ・エルゴノミクス2 250cc DEMI(デミ)
リスク:内出血、血種、感染、拘縮、痛み、傷口の赤み・硬さ・突っ張り・色素沈着・インプラント関連巨細胞性リンパ腫、乳房皮膚の知覚低下・過敏・左右差・シリコンの触知・左右差
費用:1,595,000円、モニター割引あり、別途脂肪吸引費用(部位・範囲によって異なります)・麻酔費用・シリコン費用

この症例を詳しく見る

デュアルプレーン法の詳細はこちら

脂肪注入豊胸

ご自身の太ももや腹部などから採取した脂肪を加工し、乳房に注入してボリュームを補う手術です。

対応できる症状・悩み

軽度〜中等度のボリューム低下、デコルテ部分の削げ。

向いている人

採取できる十分な脂肪があり、人工物を使わずに自然な柔らかさ・見た目を重視したい方。

向いていない人

やせ型で脂肪採取が困難な方、一度の手術で大幅なサイズアップ(2カップ以上)を希望する方。

脂肪注入豊胸の詳細はこちら

ハイブリッド豊胸

シリコンインプラントによるボリュームアップと、自身の脂肪注入を組み合わせた術式です。

対応できる症状・悩み

全体的なボリューム低下が大きく、インプラントのみでは輪郭や質感が不自然になりやすい状態。

向いている人

しっかりとしたサイズアップを目指しつつ、デコルテや境界部分の触感・見え方を自然に仕上げたい方。

向いていない人

脂肪採取が難しいやせ型の方、ダウンタイムや身体への負担を最小限に抑えたい方。

ハイブリッド豊胸術(乳腺下法)モティバ300cc DEMI(デミ)

施術内容:30代 ハイブリッド豊胸術(乳腺下法)モティバ300cc DEMI(デミ)
リスク:内出血、血種、感染、拘縮、痛み、傷口の赤み・硬さ・突っ張り・色素沈着・インプラント関連巨細胞性リンパ腫、乳房皮膚の知覚低下・過敏・左右差・シリコンの触知・左右差
費用:1,595,000円、モニター割引あり、別途脂肪吸引費用(部位・範囲によって異なります)・麻酔費用・シリコン費用

この症例を詳しく見る

ハイブリッド豊胸の詳細はこちら

垂れた胸は整形手術しないと戻らないのか?セルフケアは有効?

手術を検討する前に、トレーニングや下着によるセルフケアで下垂が改善するか疑問に思う方も多くいらっしゃいます。セルフケアで期待できる効果の限界と役割について正しく把握しておくことが大切です。

大胸筋のトレーニング

バストの土台である「大胸筋」を鍛える運動は、胸の地盤を厚くすることに関係します。

期待できること

土台となる筋肉が発達することで、デコルテ付近の厚みが増し、姿勢が改善することでバスト全体が高く見えやすくなります。

期待できないこと

伸びてしまったクーパー靭帯や、余分に伸びた皮膚、縮小した乳腺そのものを元の状態に修復することはできません。そのため、バストの位置そのものを大幅に引き上げる効果には限界があります。

下着によるサポート

ナイトブラや補正下着の着用は、日常生活での負担を軽減する上で一定の意味を持ちます。

期待できること

自身のサイズに適したブラジャーを正しく着用することで、重力や揺れによるクーパー靭帯へのさらなる負担を抑え、「今後の下垂の進行を抑えること」が効果が期待できます。

期待できないこと

下着を着用している間は整った形状をキープできますが、下着を外した素肌の状態で、垂れた皮膚や位置が元に戻るわけではありません。

胸の垂れ具合で考えるあなたに合った治療法

ご自身に適した施術方法を把握するためには、「下垂の程度」と「バスト内部のボリューム状態」を評価することが重要です。

胸の垂れ具合

以下は、状態別に検討される一般的な治療法の目安です。

バストの状態 主に検討される方法 切開部位と傷あと 通院の目安(抜糸等)
ボリューム低下主体(乳頭の位置は下がっていない) 豊胸術単独(シリコンバッグ/脂肪注入) 脇の下または乳房下溝、脂肪採取部 術後1〜2週間程度で2回程度
軽度〜中等度の下垂(皮膚のたるみが中程度) 豊胸術単独またはマストペクシー(乳輪周囲切開) 脇の下または乳房下溝、乳輪の周囲 術後1〜2週間程度で2回程度
重度の下垂(乳頭の位置が大きく下がっている) マストペクシー(垂直・T字切開)※必要に応じて豊胸術を併用 乳輪周囲〜乳房下部(I字・T字) 術後1〜2週間程度で2〜3回

※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。

※実際の適応は、皮膚の伸びやすさ・厚み・乳腺量・ご希望の仕上がりなどを総合的に考慮し、医師の診察によって決定されます。

ボリューム低下が主体で位置の変化が小さい場合(萎縮状態)

鏡を見たときにバストが垂れて見えても、乳頭の位置が正面を向いており、バストの下のライン(乳房下溝線)より上にある場合は、下垂ではなく「乳房萎縮」の状態である可能性があります。

この場合、皮膚を切除するマストペクシー(挙上術)を行わなくても、豊胸手術によって失われた内部のボリュームを補うだけで、バストにハリが戻り、下垂感の改善が期待できる場合があります。

軽度から中等度の下垂がある場合

乳頭の位置がわずかに下を向き始めている、あるいは皮膚に多少の緩みが見られる状態です。

  • ボリュームを出したい希望がある場合は「豊胸術単独」でハリを出すアプローチ
  • バストの大きさは変えず、位置だけを整えたい場合は「乳輪周囲切開によるマストペクシー」

など、優先させたいご希望(傷あとの少なさ・サイズアップの有無など)に合わせて複数の選択肢から検討します。

重度の下垂がある場合

皮膚の伸びが著しく、乳頭の位置がバストの下の折り返し線よりも明確に下に位置している状態です。

この段階では、豊胸術だけでボリュームを補おうとすると、下がった位置のまま全体が大きくなり、かえって不自然な形状(いわゆるDouble Bubble変形など)を招くリスクがあります。

そのため、「垂直切開(I字)」や「T字切開」を伴うマストペクシー(切開による引き上げ)や、マストペクシーと豊胸術の併用が選択肢として検討されます。

垂れたお胸の手術に関するよくある質問(FAQ)

カウンセリング時に患者様から多く寄せられる質問と回答をまとめました。

垂れていても豊胸手術だけで改善が期待できますか?

バストの状態が「萎縮主体(ボリューム低下)」であれば、豊胸手術だけで改善が期待できる場合があります。
乳頭の位置が大きく下がっておらず、皮膚の緩みが軽度であれば、シリコンバッグや脂肪注入で内部を満たすことでバストのハリの改善が期待できます。

ただし、皮膚のたるみが強い重度の下垂の場合は、マストペクシー(挙上術・皮膚の切除)の併用が必要になることがあります。

傷あとはどのくらい残りますか?

術式や切開方法によって傷あとの位置や範囲が異なります。

豊胸術の場合は脇の下や乳房下部などの目立ちにくい部位に数センチの傷が残ります。

マストペクシー(乳房挙上術・吊り上げ・縮小)の場合は、乳輪の周囲、あるいは乳輪下部から垂直・横方向に傷が残ります。

傷あとは術後数ヶ月〜半年かけて赤みが引き、徐々に白い線へと変化していきますが、完全に消失することはありません。

体質によっては肥厚性瘢痕(傷が盛り上がる状態)を生じる可能性があるため、術後の傷あとケアが重要となります。

手術後に授乳はできますか?

選択する術式や切開範囲によって授乳機能への影響は異なります。

インプラント挿入や脂肪注入による豊胸術、または乳腺組織を傷つけない範囲のマストペクシーであれば、基本的に乳腺や乳管が維持されるため授乳への影響は少ないとされています。

しかし、乳頭の位置を大幅に移動させる術式や広範囲の乳房縮小術を行う場合、乳管が切断され将来的な授乳機能に影響が出るリスクがあります。

将来妊娠・授乳のご予定がある方は、必ず事前に医師へお伝えください。

ダウンタイムはどのくらいですか?

術式によって異なりますが、強い腫れや内出血のピークは術後数日〜1週間程度です。

一般的な日常生活(デスクワーク等)への復帰は数日〜1週間程度が目安となります。

激しい運動や重いものを持つ作業、湯船への入浴などは、状態を見ながら術後3〜4週間ほど控えていただく必要があります。

完成までの期間には個人差があり、組織が馴染むまでに3〜6ヶ月程度を要します。

費用の総額はどう考えればよいですか?

手術費用だけでなく、麻酔費用・検査費用・アフターケア費用を含めた総額を確認することが重要です。

美容整形の手術は自由診療(全額自己負担)となります。バストの手術では、基本の手術費用に加えて「静脈麻酔・全身麻酔代」「事前血液検査代」「術後固定具(圧迫ブラ)代」などが別途発生する場合があります。

また、モニター制度をご利用いただく場合は適用条件や露出範囲の確認が必要です。カウンセリング時に見積もり総額の内訳をしっかりとご確認ください。

まとめ

垂れた胸に対する手術で満足度の高い結果を得るためには、「豊胸術で対応できる段階なのか」「皮膚を切除するマストペクシー(乳房挙上術)が必要な段階なのか」ということを判断する必要があります。

  • ボリューム低下(萎縮)が原因:豊胸術によってハリと立体感の回復を目指す
  • 皮膚の伸び・位置の下がりが原因:切開による皮膚の切除と引き上げが必要

セルフケアで改善できる範囲には構造的な限界があるため、お一人で悩まずに、まずは医師のカウンセリングでご自身のバストの状態を正確に評価してもらうことをおすすめします。

当院では、患者様一人ひとりのライフスタイルやご希望の傷あと・仕上がりに合わせ、適切な治療プランをご提案しております。お気軽にご相談ください。

監修者情報

小野 准平

LOCHIC CLINIC GINZA 代表理事 院長 小野 准平JUMPEI ONO

2000年
鹿児島ラ・サール高等学校卒業
2006年
東京医科歯科大学 医学部 医学科 卒業
2008年
臨床初期研修修了後、北里大学 形成外科・美容外科学 入局
2014年
日本形成外科学会専門医取得
同年より東京美容外科 勤務
2016年
東京美容外科 新宿院院長
2022年
LOCHIC CLINIC GINZA 開院
詳しく見る
一覧に戻る